フォルメン線描

芸術表現
 キース氏の2時間目の授業は芸術表現です。

 シュタイナーは、芸術について次のように述べています。

 古代の人間は、精神界(神々)とのつながりを持つことができコミュニケーション(対話)することができました。しかし、現代の人間はそれができなくなりました。神々は、対話ができなくなった人間にその代わりとなるものを与えました。それが芸術です。

 叡智に満ちた神々は
 常に変わらず対話することをやめたとき
 私たちの孤独を思い
 私たちに授けた
 芸術という慰めを

 シュタイナー教育の中で大きな位置を占めているのが芸術表現です。
芸術表現の中に具体的なものとして、語ること 聞くこと 歌うこと 楽器を演奏すること 線描 絵を描くこと ダンス、オイリュトミー 劇 などさまざまなことがあります。中でも、教えるということも芸術だと教わりました。芸術的に教育するときに大切なことは物語を語るということです。そしてこんなお話をして下さいました。

 1年生の最初に習うフォルメン線描の授業
 『昔、あるところに小さなお姫さまがいました。小さなお姫さまが6歳になったとき王様がいいました。「お前は学校に行かなければならない。」

 お姫さまの先生の名前はぺタゴール先生といいました。あるとき、お姫さまの部屋に召使がやってきて言いました。「すぐに、王様の部屋にいらっしゃい。」

 小さなお姫様は、長い廊下を歩いて王様の部屋に行きました。王様は「おはよう、小さなお姫さま」と挨拶しました。小さなお姫さまもおじぎをして「おはようございます」と挨拶しました。王様は「お前にぺタゴール先生に会わせてあげよう。」といいました。ぺタゴール先生は隣の部屋から入ってきて、小さなお姫さまにいいました。「今日は、私の教室に行って2本の線を描く練習をしよう。」

 教室に入ると、黒板があって、ぺタゴール先生は2枚の紙を黒板にはりました。そこに、まっすぐな線と曲がった線を描きました。そして小さなお姫様に同じことをするようにと言いました。お姫様が描いた線をみて、先生は最後に言いました。「お姫様、あなたがこれから描くあらゆる絵は、このまっすぐな線と曲がった線ですべて描かれるのですよ。」』

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 縦2cm、横3cmのブロック状になっているクレヨンで描きました。
 横の3cm幅の面を用いて親指と中指でつまみ、人指し指を添えて持ちます。
この持ち方は鉛筆へと移行していくことにつながっています。直線を青で描くのは、直線は冷たいイメージ、曲線は赤で、暖かいイメージがあるからです。

 次にブロッククレヨンの2cm幅の角を使って描き、その次に角のとがっているところを利用して描きました。


 キース氏は、「子どもたちがこの話を聞きながら小さなお姫様になりきってその話を聞くことが大切です。小さなお姫様になりきることによって、感情に働きかけることができるからです。

 7歳から14歳までの子どもは、さまざまな知識は感情を通して知らされることが大切です。このようなやり方は芸術的なやり方です。14歳以降になるとまず考えを受け取ってその後で感じるのがよいのですが、小さな子どもにとっては、新しい情報は芸術的なやり方で与えられることがふさわしいのです。」と話してくださいました。

 『次の日、ぺタゴール先生は小さなお姫さまを呼んでいいました。「この線はあらゆるところに見つけることができます。どこにまっすぐな線を見つけたのか話してごらん。」といいました。「お城の外の壁に見つけたわ。」と小さいお姫様が答えました。』

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 まず、空中で3回ほど練習してから紙に描きます。

『ぺタゴール先生がいいました。「どこに曲がった線を見つけましたか。」お姫さまはいいました。「窓の外に、なだらかな丘が見えます。」お姫様はなだらかな曲線の丘を描きました。』

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 『ぺタゴール先生はいいました。「一緒に散歩に行こう」2人はお城の門をでて、お城の周りのお堀をこえて行きました。道をずっと下っていくと小さな池にでました。池のふちに小さなボートがありました。ぺタゴール先生は小さなお姫様をボートに乗せて池の真ん中に来ました。そこでお姫様は、まっすぐな線や曲がった線がないか探しました。お姫様は池を見渡し、小さな水の波の曲線を見つけました。そして池の向こうには山々が連なって見えました。

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山並みの直線と波の曲線

 しばらくして、2人はもとの船着場にもどってきました。するとぺタゴール先生がいいました。「ここにも曲がった線とまっすぐな線を見つけた。」といいました。
ボートを見ると、最初は曲がった線で、最後のところは直線になっていました。』

 『今度はぺタゴール先生は、小さなお姫様を森の中に連れて行きました。
小さなお姫様は、小さなきのこが生えているのを見つけました。きのこの下にはいつも小人がいるのです。小人は小さなお姫様に「こんにちわ」といいました。お城にもどった2人は見たものを描き始めました。ぺタゴール先生は言いました。「きのこの絵は何が違いますか?」小さなお姫様は「きのこにはまっすぐな線と曲がった線があります。」といいました。ぺタゴール先生は「よく見ていましたね。それでは曲がった線とまっすぐな線をもう少し描いてみましょう」』

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紙を観音開きのように折、左右対称に描きます。
ボート、洋ナシなど。鏡絵は何が欠けているか想像力を働かせるようにします。紙に描く前に、足で描いたり空中で描いたりします。

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 2年生になるとお話の登場人物がアメリカ先住民の少年にかわります。ぺタゴール先生の役割は少年のおじいさんになります。そして、直線と曲線は弓と矢になるのだそうです。

 3年生以上になると、お話がなくても線を写すということができるようになります。5年生になると幾何学模様(いろいろな形の三角、四角、五角形など)を描きます。6年生になるとケルト結びのような図も描くのだそうです。

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             ケルト結び

 私は小学校1年生のとき、ひらがなを習うのに何度も何度も同じ字をただ書かされたことを思い出しました。本当につまらなかった。このようなお話を先生が語ってくださったら、子どもたちはどんなにか興味をもって学ぶことができるでしょう。学ぶことが楽しいと思うに違いありません。フォルメン線描は後に幾何学に結びついていくのでしょうか。まだ意味は分かりませんが授業の進め方はすばらしいと思いました。


キース氏の授業でたくさんの幾何学模様を描きました。その中のものです。

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by higuchi1108 | 2006-06-30 20:02 | 芸術表現
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