12の感覚を学ぶ

12の感覚論・はじめに

 タイン・チェリー氏の12感覚論の授業が始まりました。シュタイナー教育では感覚を育てるということをとても大切にしていると聞きます。私は、保育の現場にいるとき感覚を育てるという意識がまったくありませんでした。

 「魂の扉・12感覚」の著者アルバート・ズスマン氏は生命を担う源泉は3つあるといいます。第一の源泉は食べ物です。第二の源泉は空気です。そして第三の源泉が感覚です。
ズスマン氏は、「私たちは第一と第二の生命源に大きな危惧を持ちながら暮らしています。大地も海も大気も、様々な廃棄物によってますます汚染されていきます。しかし、汚染されているのはそれだけではありません。第三の生命源である感覚も著しく汚染されています。にもかかわらず、私たちはそれをあまり意識していないのではないでしょうか?」と述べておられます。

 12の感覚を取り上げた治癒教育家養成講座のレジュメの中で、バーバラ氏も次のように述べておられます。
 「私たちの感覚は、近代的な生活のありようのために破壊されつつあるものです。私たち、現在のすべての人間が感覚の退化に苦しんでいます。」と述べておられました。そして、「大人だったら、芸術活動や話すこと、動くことで自分の感覚を再活性化させることができます。けれども子どもはできません。ですから、私たち大人がこの12感覚を理解することによって、私たちが経てきたと同じような感覚の退化を子どもたちの中で起きないように予防することが出来ます。又、すでに痛めつけられてしまった子どもたちの感覚を再教育したり、癒したりすることが出来きるのです。」と

 考えてみれば、感覚は人間の体や心と密接に結びついているのです。それにもかかわらず、感覚に対して今まであまりにも無関心であったように思います。自分自身や子どもたちの感覚が脅かされていることにも気がつきませんでした。現在、大人や子どもたちの中で様々な問題として現れてきているものの多くが、実は感覚に問題があったのですね。感覚のことを理解できていなければ心の教育もできません。私たちは子どもには感受性が豊かな子どもに育って欲しいと願っています。バーバラ氏は、「感受性の豊かさは、まさに感覚から始まるのです。」と言われていました。
 この感覚論を知ることで、保育を実践する上で、また、自分自身が生きていく上で大きな助けになると思っています。

                 タイン・チェリー氏による講座
                      12感覚論

 一般に皆が知っている五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)以外にも感覚があります。シュタイナーは12個の感覚があると述べています。この五感の他に、熱感覚、運動感覚、平衡感覚、生命感覚、言語感覚、思考感覚、自我感覚があります。この中でも、言語感覚、思考感覚、自我感覚はシュタイナーがはじめて語った感覚です。

 私たちは生まれて成長していきます。成長するということは世界をだんだんと知っていくことだといわれます。世界とは、地球はもちろん、月や太陽、星々も含まれます。その中に自分自身も含まれます。まず私たちは、最初は感覚を通して世界を知り学んでいくのです。

 私たちは、目、耳、鼻、舌、などの器官を通して様々なことを知覚します。世界を知るために感覚を使うのです。どんなに高い哲学的な思考や知恵も感覚から始まっていると述べておられました。


12の感覚を3つに分類すると次のようになります。

1、下位感覚
 肉体感覚とも呼ばれています。下位感覚は、触覚、生命感覚、運動感覚、平衡感覚の4つです。この下位感覚は、肉体的な活動を知覚する感覚で、主に0歳~7歳に育つ感覚だといいます。

2、中位感覚
  感情の感覚とも呼ばれ、嗅覚、味覚、視覚、熱感覚の4つです。この中位感覚は、自然界(周囲)を知覚する感覚で、主に7歳~14歳に育つ感覚です。

3、上位感覚
  社会的、精神的な感覚と呼ばれています。聴覚、言語感覚、思考感覚、自我感覚の4つです。他者を知覚する感覚で、主に14歳~21歳に育つ感覚です。


 私たちは一つだけの感覚に注意を払うことは困難です。すべての感覚が相互に作用しあい、共に働きあい、支えあっているからです。

実験
 目隠しをして部屋の中から廊下に出て行く実験をしました。目が見えなくなると、頼りになるのは他の感覚です。手で触って位置を確認します。耳をすまして人の気配を探ります。動きに対して敏感になります。一つの感覚を失うと他のあらゆる感覚を使って補おうとしていることがよく分かりました。

 すべての感覚は自分自身と他者について知覚します。
 又、一つ一つの感覚の発達は個人によって差があります。また、一人の人間の中にも優れている感覚と劣っている感覚があります。私たちは、自分自身の感覚の弱いところを育てたいと思います。子どもたちにはすべての感覚がバランスよく育ってほしいと思います。それには次の3つのことが必要だといわれます。

①それぞれの感覚を理解する
 それぞれの感覚はどういうものか。どういう機能があるのかを理解すること。

②感覚を育てるという意識を持つ
 たとえば、ロックミュージックのようなうるさい音楽が一日中聞こえてくる環境に育つと、子どもは聴覚にダメージを受けます。また、今日、味覚も科学調味料や添加物の食べ物によってダメージを受けています。このようにすべての感覚が今日の文明によってダメージを受けていることに気づく必要があります。

③感覚を育てる
 すべての感覚は未完成です。大人になっても育てて行く必要があります。しかし、ただ一つの感覚を発達させるとバランスが取れなくなってしまいます。3歳からバイオリンを一日何時間も弾かせたりすると、運動感覚が育たなくなってしまいます。テニスプレーヤーに育てようとして、テニスばかりさせているとその他の感覚が育ちません。タインさんは、現在では大人も子どもも感覚が一面的に偏っている傾向があると述べておられました。
   
(自我こそはすべての感覚の教育者)
 動物は感覚を使うことは出来ますが育てることは出来ません。動物は自我がないためできないのです。人間だけが自我によって感覚を育てることが出来るのです。感覚を害するものを食い止めることもできます。バーバラ氏は、自我こそはすべての感覚の教育者だと述べておられます。そして、自我は他の感覚によって教育されるのですと。


それでは一つ一つの感覚について詳しく見ていきましょう。
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by higuchi1108 | 2006-11-04 13:18 | 12感覚
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