シュタイナー教育の概要

シュタイナー教育の概要
 いよいよ2年目の年になり、シュタイナー教育を学びます。最初に大村祐子さんからのシュタイナー教育の概要を学ぶ授業がありました。0歳~21歳までの子どもの成長とそれに沿ったカリキュラムを教えてもらいました。
 シュタイナーは、「ある能力を正しい仕方で育てるためには、どの年齢でそれを試さなければならないかを考えなければならない。実際にその年齢でなければ発達させられない能力がある。後からそれを発達させようと思ったら、人生をかけて生きるか死ぬかの境を通してそうしなければならなくなるのです。」と述べています。生きるか死ぬかはちょっとオーバーかも知れませんが、それだけ時期を逃してしまったら、後からその能力を伸ばそうと思ってもとても難しいということなんだと思います。

 “どの年齢でどんな能力をどのようにして伸ばすのか。”
シュタイナーは「人間の一生は7年周期で変容していく。」と考え、子どもの成長も7年周期でとらえています。

(0歳~7歳)
 この時期の子どもは模倣を通して学びます。

 模倣こそこの時期の子どもの学び方だといわれます。
この年齢の子どもに説教をしたり、こうだ、あーだと言って聞かせてもだめだということですね。私は、保育所に勤めているとき常に、「次はこうしてね。こうするのよ。」と指示をしていたように思います。周りの大人のすることや出来事をまねて遊んでいる姿は知っていましたが、模倣を通して学ぶという視点がまったくありませんでした。大人が教えることによって学ぶのだと思っていました。

 また、子どもの心は世界に向かって完全に開かれていて、子どもは大人の考えていることや感じていることまでも模倣するのだそうです。子どもに真似されてもいい振る舞いを常に態度で指し示さなければならないなんて、この時期の子どもを育てる大人はとっても大変ですね。いつも感情が穏やかなときばかりではありません。いらいらしたり、カッとなったりする時だってあるのですから。こんなことを聞くと「私にはとても子どもは育てられない。」と思ってしまいます。
でも人間なのですから完璧なあり方なんて出来るわけがありません。そういう自分のあり方を認めて、この時期の子どもは模倣を通して学ぶのだということを忘れず日々過ごすことが大切なのではないかと思います。
 しかし、保育園や幼稚園の保育士は「プロ」なのですから、子どもと接している間は子どもに模倣されてもいい振る舞いを常に心がけて保育に当たることが求められると思います。

 この時期の子どもは、
1、身体組織と器官が育つ。
2、身体活動(運動)を多くする。
3、言葉を話すこと、それに伴って思考すること。
4、道徳性が育つ。
  この4つのことが子どもの中で著しく育つといわれます。

○ 体の組織が発達するとは
 生まれてすぐに育つ必要のある器官は血液の循環と呼吸です。この二つは生きていく上でなくてはならないものです。
 この二つが健やかに育つためには、血液の循環が規則正しく、力強くあること。呼吸が正しく深くあることが大切です。不安だったり、不満があったりすると呼吸が浅くなります。また、ドキドキしたり、怒っているときも呼吸が浅くなります。深くリズムのある呼吸をするためには不安がらせない、怖がらせない、急がせない、睡眠不足にさせないことが大切です。また、決まっていないこと、いつも変化すること、強制させられることは不安につながります。知らない人に会うこと、未知なものに出会うこと、刺激のつよい食べ物に出会うことも不安にさせます。
落ち着いていて、安心で、睡眠が十分満ち足りていることが、呼吸、血液の循環の安定につながり健やかな成長を促します。

 私は、「急がせない、決まっていないこと、いつも変化すること、強制させられないこと。」というところがとても考えさせられました。今まで保育者として保育していたときのことが思い出されます。私は、いろんなことをたくさん体験し経験することが子どもの成長を促すのだと思っていました。毎年同じことを繰り返すのではなく常に新しいことをチャレンジさせるような取り組みを考えていました。また、生活の中で色々なことを決めてしまうのは子どもを自由にのびのび育てられないと思っていました。たとえば、食事をするとき座る場所を自由にさせていました。今から思うと座る場所が決まっていないと、どこに座っていいのか分からない子どもにとってはどんなに不安だったことでしょう。いつも「早くしなさい。」と急がせていたし、いやなことも強制していたこともいっぱいあったなあと反省することばかりです。睡眠不足の子どもたちもたくさんいました。その結果、子どもたちは落ち着かなくなり、騒がしくなり、子ども同士のトラブルが増えてきたのだと思います。

 毎日、毎週、毎年同じことが繰り返され、それがベースとしてある中で、子どもの成長と共に少しずつ新しいことを体験するということなのでしょうか。その中での新しい体験は、不安なのではなくワクワク、ドキドキ心躍る体験になるのでしょう。特に今はめまぐるしく様々なことが変わる世の中です。だからこそ、子どもにとって毎日の生活のリズムはとても大切になってくるのだと思います。

 ルネ・ケリード著の「シュタイナー教育の創造性」という本の中に、子どもの意志はリズムのある生活の中で発達する。大人は子どもの意志の変容を助けなければならない。ということが書かれてありました。

 意志は変容するというのです。
 幼い子どもの意志はすべて本能的です。その本能はリズムのある生活のなかでゆっくりと発展するそうです。食べたり、眠ったり、歩いたりなどの正しいリズムを通じて子どもの習慣が確立されます。本能的な意志はしだいに衝動になります。そして、欲望になり、続いて動機になります。動機は意図となり、願望になり、決意に変容します。このことは、大人になったとき目的をもって行動できる力に結びついていくのですと。

 7歳までの子どもは、本能的な意志から衝動に変容していくけれど、まだ動機を持つ能力を発達させていないといいます。子どもはまだ動機をもって行動することが出来ません。ですから、7歳までの子どもに選択させることはよくないといわれます。たとえば「明日の誕生日にはどこへ行こうか。公園に行ききたいかい、それともボートに乗りたいかい。」というような質問です。私も、子どもに選択させるということも今までよくしていました。子どもにどうしたらいいか考えさせるということもよくしていました。これは子どもの自主性を育てるものだと思っていたのです。大人がすべて決めてしまうことは子どもの自主性を奪うことだと。子どもの心の成長を知らないためにしてしまった誤りだと改めて思います。

○身体活動が活発になるとは
  幼児が体を動かすということは内面から湧き出てくる衝動だといいます。ですから、それをやめさせようとしたり邪魔してはいけません。適切な運動が身体機能を強めるのです。身体の発達は意志の発達を促します。動くということは意志が働いています。自分の思う通りに体を動かすことが意志を強め、又、体が動くことで意志が強められるといわれます。

 最近は特に、思いっきり体を動かせて遊ぶ子どもが少なくなってきました。テレビやテレビゲームの影響、遊び場がないなど深刻な問題を抱えていると思います。大人が意識してそういう場を作ってあげることが必要になってきています。

○話すということは
 話すことによって自分以外の世界と関係を持つことができます。話すことはリズムとつながっているので呼吸と循環器の形成を助けます。リズムのない話し方はたどたどしい話し方になってしまいますものね。また、話すことは思考につながります。3歳ごろ、子どもが話し始めたころ、思考の対象(世界)がはじめて子どもの前に現れるのだそうです。ですから、子どもは自分の外にあるものにとても興味を示します。外にあるもので興味を示すものは動くものです。動くものの中でも一番興味を示すのが人間です。
大人は思考するとき、論理的、概念的に思考しますが幼児は鏡を見るように世界を見るのだそうです。鏡がすべてを写すように全部受け取って模倣します。このことは、幼児が鏡文字を書くことからも分かります。外的な出来事の鏡像が思考の土台になるのだそうです。

○道徳性、宗教性を形成するとは
 道徳的な生活を営むことは人として生きる時とても必要です。道徳性を育むには、感謝すること、愛すること、勤めを果たすことを学ばなければなりません。シュタイナーは、感謝することは0歳~7歳で、愛することは7歳~14歳で、勤めを果たすことは14歳以降に育つといわれます。感謝する気持ちが育たないと愛することも勤めを果たすことも出来ません。感謝することはあらゆることの土台になるといわれます。感謝することを学ぶためには、周りの大人が感謝することが出来ること、そして感謝してもらった体験が必要です。

 感謝の気持ちと同時に宗教性も育ちます。宗教性とは、この世界には人間の力以外の存在が働いていることを感じることです。人間だけがすべてであり、人間だけが力を持っていると思うとおごりにつながります。宗教性を持つことによって、人は謙虚になり精神を成長させていく力になります。シュタイナー教育の目的は、すべての子どもはこの世で果たすべき課題を持って生まれてきて、その課題を果たすための力と技をつけることにあるのだといいます。宗教性がないとこの目標は達成されないというのです。宗教性はすべての子どもが持っています。それは、周りの人や周りの環境にすべてをゆだねている姿から見て取れます。

 シュタイナー幼稚園では、毎日お祈りの時間があると聞きます。お祈りは感謝の気持ちを言葉にして表すものです。宗教というと抵抗のある人も多いと思います。でも、どの宗教と限定するのではなく、人間の力を超えた大いなるものに、いつも感謝の気持ちを持っている大人の言葉を聴いて育つことは幼い子どもにとって大切なことだと思えるようになってきました。私の祖母は朝に夕にお祈りをしていました。あらゆる神様を信じていていろんな神様の名前を最初に言って、感謝の言葉と自分のこと家族のことをいつも祈っていました。そんな祖母を見て育てられたことが今の私につながっているのだと最近になって感じています。昔の人はいつも仏壇に手を合わせ神棚に手を合わせて生活することが当たり前だったのです。そんな生活は私の祖母の時代に終わってしまいました。だからなのでしょうか。今の大人たちは私も含めて感謝することよりも不平不満が先に来てしまいます。このことは私自身の課題でもあります。
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by higuchi1108 | 2007-05-03 10:54 | シュタイナー教育の概要
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